・近年の子どもたちの傾向
・子どもたちの現状、社会的背景
・子どもヨガの効果
・子どもヨガの3つのメリット
・保護者の方へのお願い
現代の子どもたちは窮屈な世界で生きている
近年の子どもたちの傾向として
・基本的な生活習慣や態度が身についていない
・他者とのかかわりが苦手
・自制心、集中力、忍耐力の低下
・運動能力の低下
・自尊感情の低下
などが指摘されています。
学校生活では
・学習に集中できない
・教員の話が聞けずに授業が成立しない
・学びに対する意欲や関心が低い
という傾向が見られます。
子どもの生活環境が変化し、悪影響が出ている
子どもは自分で物事を判断したり、選択することができません。
ですから、子どもを取り巻く環境が大きな影響を及ぼします。
近年の子どもたちは、多くの情報や便利な物に囲まれた環境にいます。
情報化の進展によって知識は増えているものの、その知識は断片的で受け身的なものが多いです。
また、ゲームやインターネット等の室内の遊びが増えたことで、自然環境から離れてしまい、人間が本来持つ生きる逞しさや、いのちを尊重する精神を身につける機会が奪われています。
便利な物は、「自分で考える力」や「行動する力」を低下させます。
体を動かす機会が減ると、体幹(体の軸となる奥の筋肉)が衰え、姿勢の不良や運動不足につながります。
悪い姿勢は口呼吸になったり、呼吸が浅くなったりします。
その結果、十分に酸素が行き届かず集中力の低下や自律神経の乱れ、睡眠不足などの影響が現れます。
さらに、少子化・核家族化によって、子ども同士で遊んだり、祖父母等と触れ合ったりという機会が減少します。
子どもが成長し自立する上で、プラス体験(成功、実現)・マイナス体験(葛藤や挫折)は不可欠ですが、それが体験しづらい社会となっています。
子どもヨガの効果
幼児のヨガの効果は
・姿勢の改善
・足の裏が発達する(土踏まずの形成)
・積極性、集中力の向上
・病気にかかりづらくなる
・しっかり眠れるようになる
・生活習慣が整う
などが報告されています。
子どもヨガの3つの良いところ
①ヨガは発達過程に沿ったポーズで構成されている
ヨガのポーズは、赤ちゃんが生まれてから二足歩行になるまでの背骨の発達過程と同様のポーズで形成されています。
子どもにヨガが自然な発達に沿った動きのため、体に負担がなく、子どもにも馴染みやすいです。
②自分の体や心を見つめ、穏やかな状態に導く
ヨガの大きな特徴の一つは、動いた後に「お休みのポーズ」があることです。
収縮した筋肉をリラックスさせ、力が抜けた状態(副交感神経と交感神経の切り替え)を体感します。
これにより自分の体の感覚や心の状態に意識が向きやすくなり、”自分”という存在に気づきます(自己意識の形成)。
自分の体との付き合い方、他者との関わり方を自然と学ぶことができるようになります。
③呼吸を通して、自分を大切にできる
ヨガにおいて呼吸法はとても大切です。
子どもヨガでは、動物の鳴き声の真似や、色々な効果音を発することで、自然と深い呼吸ができるようになります。
深い呼吸は自律神経のバランスを整え、リラックスした状態になります。
正しい呼吸を身につけると、口呼吸の予防や、歯並びの改善、鼻詰まりの予防などの効果が期待できます。
さらに呼吸を意識することは、自分という存在を大切にすることにつながります。
ヨガをするときの保護者の方へのお願い
①ポーズをとるプロセスを大切に。
ポーズをとることが目的ではありません。
②他の子と比べず、ありのままを見てあげましょう。
その子らしさを認めてあげます。
③ポーズはどんな形でもほめてあげましょう。
子どもの主体性、独創性を育むため、型にはめないようにします。
④静かな時間・ "間"を大切に。
静と動のメリハリをつけ、リラックスした状態を味わいます。
⑤その子のペースに合わせましょう。
一人一人の自然なリズムがあります。
ヨガの時間だけは、大人が子どものペースに合わせてあげましょう。
出典)
伊藤華野「はじめよう!キッズ・ヨーガ」
文部科学省「現代の子どもの成長と徳育をめぐる今日的課題」「子どもの育ちの現状と背景」