姿勢シリーズ Vol.5|その座り方、きつくないですか?骨盤と坐骨から考える座り姿勢
「座っていると、腰や背中がつらくなる」
「気がつくと、すぐに姿勢が崩れる」
そんなことはありませんか?
座り方を考えるとき、ポイントになるのが「骨盤」です。
骨盤は、下半身と上半身をつなぐ場所。
その上には背骨があり、身体を支える土台の一つでもあります。
立っているときは「足裏」が身体を支える土台になりますが、座っているときの土台は「骨盤」です。
今回は、その中でも実際に触って感じやすい「坐骨」に注目してみましょう。
骨盤って、どんなもの?
骨盤は、一つの大きな骨のように見えるかもしれません。
でも実際には、左右の腸骨・坐骨・恥骨と、後ろ側の仙骨・尾骨など、いくつかの骨が組み合わさってできています。

① 坐骨を触ってみる
あぐら(スカーサナ)で座り、お尻の下に両手を入れてみましょう。

手に当たる、硬くて丸みのある骨が「坐骨」です。
1)前後に揺れてみる

① 上半身を前に傾けます。
坐骨にかかる重さが軽くなり、手で坐骨を触りにくくなると思います。
② 上半身を後ろに傾けます。
手に坐骨の重さがずっしりとかかります。
③ 前後の間(真ん中)をゆっくり探してみましょう。
坐骨を床に対して立てるようなイメージを持つと、背骨がすっと自然に伸びるところがあるかもしれません。
そこが、今日のあなたにとって座りやすい位置かもしれません。
自分が安定して呼吸できる場所を探してみましょう。
ただし、無理に姿勢を整える必要はありません。
椅子に座るときも、あぐらで座るときも、お尻の下にクッションや座布団などを敷くと、坐骨を立てやすくなり、楽に座れることがあります。
「姿勢を頑張って直す」のではなく、座る環境を少し変えることも、身体を楽にする方法の一つです。
2)左右に揺れてみる

① 身体を右にゆっくり傾けます。
② 左にもゆっくり傾けます。
③ 右と左、どちらの坐骨に体重が乗りやすいか感じてみましょう。
このときは姿勢をきれいにしようとせず、手のひらにかかる坐骨の感覚や、身体全体が安定する場所に意識を向けてみます。
左右差をなくすことが目的ではありません。
まずは、自分がどちらに体重をかけやすいのかを知るところから始めてみましょう。
坐骨と股関節から、姿勢を変えてみる
このように、骨盤の一部である坐骨の位置や向きが変わると、その上にある背骨や上半身の姿勢にも影響します。
骨盤そのものは、意識して動かすのが難しいものです。
そんなときは、前回の股関節回しのように、股関節を動かすことで骨盤の動きや座り心地が変わることもあります。
「背筋を伸ばさなきゃ」と上半身だけを整えるより、坐骨にかかる体重や股関節の動きに目を向けることで、自然に姿勢が変わることもあります。
▶︎ 前回の股関節回しの詳細はこちら
② 骨盤の動きを分ける|前後の動き
今度は四つ這いになりましょう。
まずは、背骨を動かす「キャット&カウ(猫と牛のポーズ)」を行います。
1) いつものキャット&カウ

① 息を吐きながら、背中を丸めます。
② 息を吸いながら、背中を反らせるようにして、胸を開きます。
③ この動きを心地よく繰り返し、背骨全体をゆっくり動かしてみましょう。
これは、背骨を動かす動きです。
2) 骨盤だけを前後に動かす

次は、背骨をできるだけ動かさないようにします。
肩甲骨の間に丸めたタオルをそっと乗せて、落とさないようにしながら行うと、背骨が動いていないか確認しやすくなります。
① 息を吐きながら、腰骨を後ろ(天井)に傾けるようにして、お尻を丸めます。
② 息を吸いながら、腰骨を前(床)に向けるようにして、骨盤を反らすように少し動かします。
③ どちらも背中や腰が大きく動かないように、小さな動きで繰り返してみましょう。
キャット&カウでは背骨全体が動いていたのに対して、こちらは骨盤の前後の動きを感じます。


③ 骨盤の動きを分ける|左右の動き
次は、左右の動きを見てみましょう。
ここも最初に「背骨を使った左右の動き」、次に「骨盤だけの左右の動き」を行います。
1) 背骨を使って左右に動く

① 四つ這いのまま、息を吐きながら右後ろを振り向くように身体を動かします。
右の脇を腰骨に近づけるようにしながら、お尻を見るようなイメージです。
② 息を吸いながら、ゆっくり元に戻します。
③ 反対側も行ってみましょう。
身体全体がCの字になるような動きです。
これは、背骨を含めて身体全体を横に曲げる動きです。
2) 骨盤だけを左右に動かす

今度は、背骨をできるだけまっすぐに保ちます。
ここでも、肩甲骨の間に丸めたタオルを乗せておくと、背骨が動いていないか確認しやすくなります。
① 右の腰骨を、右の脇に近づけるようにします。
② 息を吸いながら、ゆっくり元に戻します。
③ これを左右交互に繰り返します。
フラダンスの腰の動きをイメージすると分かりやすいかもしれません。
肩や肘が一緒に動かないことがポイントです。
背骨を大きく曲げるのではなく、骨盤を左右に動かしてみましょう。

「動かしているつもりなのに背中や肩まで動いてしまう」という人は、小さな動きを意識して、身体を観察してみましょう。
骨盤の底には、骨盤底筋があります
骨盤の下(底)には、「骨盤底筋群」という筋肉があります。
骨盤の中にある臓器を下から支えたり、尿や便のコントロールに関わったりしています。

実は骨盤底筋は、呼吸とも深く関係しています。
横隔膜やお腹まわりの筋肉などと一緒に働きながら、身体の内側から支える役割をしています。
この内側から支える働きは、見た目の姿勢を大きく変えるというより、身体を安定させ、動きやすくすることにつながります。
妊娠・出産や加齢などによって、骨盤底筋の働きが変化することもあります。
だからといって、いつも力を入れて締めていればいいわけではありません。
④ タオルを使って、骨盤底を感じてみよう
フェイスタオルを縦長に置き、くるくると丸めて、最後に輪ゴムで留めます。

このタオルを、骨盤底に当たるようにして座ります。
床であぐらになっても、椅子に座ってもできます。

タオルが触れている場所を感じながら、ゆっくり呼吸しましょう。
① お尻やお腹に力を入れず、ゆっくり息を吐ききります。
② 鼻からゆっくり息を吸います。
③ 息を吐くときに、タオルを身体の内側へふわっと吸い上げるようなイメージで、骨盤底を感じてみましょう。
④ 息を吸うときには、骨盤底の力をゆるめます。
②〜④を5〜10回程度繰り返してみましょう。
ポイント
お尻やお腹に力が入りすぎていませんか?
強く締めることよりも、呼吸に合わせて骨盤底が動く感覚を探してみましょう。
骨盤底の動きは、最初は自分では分かりにくいこともあります。
そんなときも大丈夫。
タオルが骨盤底に触れることで、「あ、ここなんだ」と身体が気づきやすくなります。
この丸めたタオルは、作っておけば、テレビを見ながらでもできるプチトレーニングにも使えますし、骨盤底が動く感覚にも気づきやすくなります。
まとめ|骨盤は、身体を支える土台
骨盤は、下半身と上半身をつなぎ、身体の「大黒柱」である背骨を支える土台の一つです。
骨盤には、「土台」としての安定性だけではなく、上半身と下半身をつなぎ、動きを伝えるための可動性も求められます。
今回のように、まずは坐骨を触ってみたり、骨盤と背骨の動きの違いを感じたりしながら、自分の身体がどう動いているのかを知ることから始めてみましょう。
一方で、骨盤は「動かしているつもり」でも、実際には腰が動いたり、骨盤自体がぶれたりするなど、代償動作が起こりやすい場所でもあります。
そんなときは、クラスで遠慮なく、
「この動き、見てほしいです」
と聞いてみてくださいね。
次回予告|Vol.6「身体を内側から支える力とは?」
今回少し登場した、骨盤底筋や呼吸。
次回は、そこからもう一歩進んで、腹圧と体幹(コア)について見ていきます。
▶︎ Vol.1|良い姿勢って何?「山のポーズ」から学ぶ自然な立ち方
▶︎ Vol.2|足裏で姿勢は変わる?ヨガで感じる「重心」の話
▶︎ Vol.3|膝を伸ばしすぎていませんか?『伸ばす』と『突っ張る』の違い
▶︎ Vol.4|股関節、ちゃんと動かせていますか?
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