姿勢シリーズ Vol.6|体幹って、固めること?「コア」と呼吸から考える姿勢
「姿勢を良くしたい」と思って背筋を伸ばしても、しばらくすると疲れたり、気がつくと姿勢が崩れていたり。
姿勢を保つためには、背骨や骨盤の位置だけでなく、身体の中心を支える力も大切です。
今回は、そんな「コア」に注目してみましょう。
コア=インナーユニットとは?
「コア」という言葉は、ヨガやトレーニングなどでよく使われます。
ここでは、コアを「インナーユニット」として捉えてみます。

インナーユニットとは、身体の中心部で働く、
- 横隔膜(おうかくまく)
- 腹横筋(ふくおうきん)
- 多裂筋(たれつきん)
- 骨盤底筋群
の4つを指します。
上には横隔膜、下には骨盤底筋群。
前・横には腹横筋、後ろには背骨を支える多裂筋があります。
聞き慣れない筋肉の名前かもしれませんが、これらは身体の奥で協調して働き、姿勢や動きを支えるとともに、呼吸にも非常に関係の深い場所です。
骨盤底筋群については、前回のVol.5でも詳しく触れています。
▶ 姿勢シリーズ Vol.5|その座り方、きつくないですか?骨盤と坐骨から考える座り姿勢
インナーユニットは、身体の「内側のコルセット」
インナーユニットの4つの筋肉は連動して働き、腹圧(お腹の中の圧力のこと)を高めることで、背骨や骨盤を安定させます。
その働きは、姿勢を保つことにも、身体を動かすことにも関係しています。
たとえば、立っているときに身体の中心が安定していれば、良い姿勢を保ちやすくなります。
また、歩く・物を持つ・手を伸ばすといった日常生活の動作や、ヨガのバランスポーズでも、身体の中心が安定していることで、手足を動かしながら全身のバランスを保ちやすくなります。
つまりコアは、「良い姿勢を作るため」だけではなく、「その姿勢を保ちながら動くため」にも大切なのです。
ポーズから戻るときにも、コアが大切
ヨガのクラスでは、ポーズをとっているときに、
「お腹に少し力を入れてみましょう」
と声をかけることがあります。
これは、お腹をぎゅっと固めるためではありません。
ポーズをとっている間はもちろん、ポーズから元の姿勢に戻るときにも、身体の中心を安定させておく必要があるからです。
たとえば、伸びきった状態から身体を縮めて元に戻るとき、お腹の力が急に抜けると、本来支えてほしい身体の中心ではなく、別の場所が無理をしてしまうことがあります。
その結果、身体の一部に負担が集中し、痛みにつながることもあります。
「動くときも、戻るときも、身体の中心で支える」
これも、コアの大切な役割です。
腹横筋は「自分のコルセット」
インナーユニットの中でも、今回は腹横筋に注目してみましょう。
腹横筋は、お腹の深いところにあり、身体をぐるりと囲むようについている筋肉です。
イメージするとしたら、自分の身体に備わった「腹巻」のようなもの。

腹横筋などが適切に働くことで、お腹の周りを支え、身体の中心の安定にも関わります。
ここで大切なのは、必要なときだけ力を入れるのではなく、普段からお腹まわりに軽く支えがある状態です。
ヨガのクラスでよく、
「頭が天井から引っ張られているように」
と声をかけることがあります。
身体を上に引き上げるような意識を持つと、背筋だけを無理に伸ばすのではなく、身体の中心にも自然に支えが生まれ、腹圧も高まりやすくなります。
この「いつも軽く支えている」感覚が、今回お伝えしたいコアの使い方の一つです。
「固める」のではなく「呼吸しながら支える」
では、その状態で呼吸してみましょう。
身体の中心に軽く力が入ったまま、自然に呼吸できますか?
お腹をぎゅっと固めてしまうと、かえって呼吸しにくくなることがあります。
だからこそ大切なのが、
「固める」のではなく、「呼吸しながら支える」こと。
そこで、クラスでも取り入れているウジャイ呼吸を使って、この感覚を体験してみましょう。
ウジャイ呼吸で、支えながら呼吸する
ウジャイ呼吸は、サンスクリット語で「勝利の呼吸」とも呼ばれます。
ここでは、一般的な腹式呼吸とは違い、胸式呼吸の仲間として捉えてみます。

両手をお腹と胸に当てて確認してみましょう。
お腹に軽く力を入れた状態で、鼻からゆっくり息を吸います。
すると、
お腹は大きく膨らまないけれど、胸や肋骨まわりは広がっていく。
そんな感覚を探してみます。
ただし、肩が上下するような呼吸ではありません。
肩の力は抜いたまま、肋骨が前後・左右に広がったり戻ったりするようなイメージで呼吸します。
吐くときは、喉の奥をやさしく狭めるようにして、鼻からゆっくり息を吐きます。
「ハー」とため息をつくときのような喉の感覚を、口を閉じた状態でつくるイメージです。
お腹をぎゅっと固めるのではなく、軽く支えたまま、肋骨を広げて呼吸する。
これが、今回体験してほしい「呼吸しながら支える」感覚です。
実践|バードドッグで、コアの働きを感じてみよう
最後に、コアが身体を支えている感覚を、実際の動きで確認してみましょう。

四つ這いになります。
そこから、
- 右手を前に伸ばす
- 左足を後ろに伸ばす
- ゆっくり戻す
- 反対側も行う
というように、左右交互に動かします。
両手両足を使うのが難しい場合は、まず片足だけを伸ばすところからで十分です。
身体を一直線に
手も足も伸ばす場合は、
伸ばした腕・背中・伸ばした足が、床と平行になるような一直線
を意識してみましょう。
手足を高く上げるのではなく、前後に引っ張られるようなイメージを持つと、お腹に力が入りやすく、身体も安定しやすくなります。
ただ、意外と頭の中のイメージと、実際の身体の位置はずれているもの。

できるだけ、身体が左右に傾かないように、両肩と骨盤の位置は床と平行を維持します。
下の手でしっかり床を押し、身体が沈まないように意識してみましょう。
逆に、手足を上げすぎて腰が反ってしまうと、腰に負担がかかることがあります。
「高く上げる」よりも、身体の中心を安定させたまま、遠くへ伸びることを意識してみてください。
自分の「効くポイント」を探してみよう
全身鏡があれば、身体の位置を確認しながら行ってみるのもおすすめです。
鏡がなければ、スマートフォンのインカメラを使って確認してみてもいいでしょう。
手足やお腹の位置を少しずつ調整してみてください。
「この位置にすると、ここがキツい」
と感じるところがあれば、それも身体を支えるために働いている場所を知る手がかりになります。
ただし、痛みが出る場所ではなく、身体を支えるために適度に力が入っている感覚を探しましょう。
まずは、片側につきゆっくり1呼吸。
安定してできるようなら、3呼吸ほど行ってみます。
自分にとって、身体の中心が一番安定する位置を探してみてください。
まとめ|コアは「固める」のではなく「支える」
コア=インナーユニットは、横隔膜・腹横筋・多裂筋・骨盤底筋群が協調して働き、腹圧を高めながら身体の中心を支えています。
良い姿勢を保つことにも、日常生活やヨガで身体を動かすことにも、そして身体を守ることにも関わっています。
だからこそ、
「体幹=固める」ではなく、
「呼吸しながら支える」。
この感覚を、ぜひ身体で探してみてください。
次回予告|Vol.7「呼吸すると、肋骨はどう動いている?」
今回、ウジャイ呼吸を通して、胸や肋骨まわりが広がる感覚にも少し触れました。
次回は、「呼吸すると、肋骨はどんなふうに動いているのか?」を見ていきます。
▶︎ Vol.1|良い姿勢って何?「山のポーズ」から学ぶ自然な立ち方
▶︎ Vol.2|足裏で姿勢は変わる?ヨガで感じる「重心」の話
▶︎ Vol.3|膝を伸ばしすぎていませんか?『伸ばす』と『突っ張る』の違い
▶︎ Vol.4|股関節、ちゃんと動かせていますか?
▶︎ Vol.5|その座り方、きつくないですか? 骨盤と坐骨から考える座り姿勢
▶︎ バックナンバーを見る
