姿勢シリーズ Vol.4|股関節、ちゃんと動かせていますか?

前回は、膝を伸ばしすぎず、やわらかく使うことについてご紹介しました。

▶︎「膝を伸ばしすぎていませんか?『伸ばす』と『突っ張る』の違い」はこちら

今回は、膝の上にある「股関節」に注目してみます。

膝と股関節、動き方はこんなに違う

前回ご紹介した膝関節は、主に「曲げる・伸ばす」という動きをする関節でした。

一方、股関節は、脚を内側・外側へ開いたり、向きを変えたり、回したりと、さまざまな方向へ動かすことができます。

自由度が高いからこそ、人によって動かし方の癖や左右差も出やすい関節です。

「右は動くけれど、左は動かしにくい」

「脚を回しているつもりなのに、身体ごと動いている」

そんな違いも、自分の股関節を知るきっかけになります。

股関節の動き

股関節は「脚だけ」の関節ではありません

股関節の周りには、太ももの前にある大腿四頭筋、後ろにあるハムストリングスなど、大きな筋肉が集まっています

さらに、脚を持ち上げる腸腰筋は、股関節を越えて背骨の近くまでつながっています。

股関節周囲の大きな筋肉

そのため、股関節の動きは脚だけで完結するものではなく、骨盤や腰、上半身の動きにも関わっています

股関節で動かしたい動きが十分にできないと、身体は別の場所を使って動きを補うことがあります。

これを「代償動作」と言います。

だからこそ、「この運動をすれば大丈夫」と一つの方法だけで考えるのではなく、自分の股関節がどのように動いているのかを知ることが大切です。

股関節の動きは、日常生活にもつながっています

股関節は、歩く・階段を上る・椅子から立ち上がるなど、毎日のさまざまな動きで使われています。

股関節周りの筋肉がうまく働かないと、歩幅が小さくなったり、階段や立ち上がりを負担に感じたりすることがあります。

また、骨盤や姿勢との関係も深いため、お腹やお尻、腰まわりの見え方にも影響します。

股関節は、脚を動かすだけでなく、姿勢や身体の動き全体に関わる大切な関節なのです。

ヨガで感じてみよう|股関節をゆっくり回す

私のヨガクラスでは、準備運動として股関節回しを取り入れることが多くあります。

股関節を大きく動かすためだけではありません。

「自分の股関節が、どんなふうに動いているのか」を感じてもらうためです。

① 股関節を回す前に、あぐらで感じてみよう

まず、股関節を回す前に、いつものようにあぐらで座ってみましょう。

膝の高さや座りやすさ、左右の違いなど、今の身体の状態を感じてみてください。

股関節を回したあとに比べられるよう、この感覚を覚えておきましょう。

あぐら姿勢で感じる

② きれいな円を描けていますか?

両足を伸ばした長座から、片方の脚を両手で支えます。

膝や足首を持ち、膝で大きな円を描くように、股関節をゆっくり回してみましょう。

おへその位置は正面を向いたまま、できるだけ上半身が動かないようにします。

股関節回し

まずは前方向へ5回ほど回したら、次は反対方向へ5回ほど回します。

反対の脚も同じように行いましょう。

呼吸に合わせて、丁寧に動かしてみてください。

大切なのは、無理に大きく回すことではありません。

股関節から脚が動いている感覚を感じてみましょう。

③ こんな動きになっていませんか?

股関節を回しているつもりでも、

  • 膝を上下に動かしているだけになる
  • 膝を横に揺らすように動かす
  • 骨盤や身体ごと倒れてしまう

など、いろいろな動き方があります。

股関節回しの色々な動き

どれが正解、間違いということではありません。

まずは、「私はこんなふうに動かしているんだ」と、自分の動き方に気づいてみましょう。

④ 股関節を回したあと、再度あぐらを感じてみよう

股関節を左右ゆっくり回したら、もう一度あぐらで座ってみましょう。

あぐら姿勢で感じる

「動かす前と、何か違うかも」

そんな小さな変化に気づくことも、自分の股関節の特徴を知る一歩です。

もう少し股関節を感じたい方へ|スリーピングスワン

股関節の動きをもう少し感じたい方は、スリーピングスワンを試してみましょう。

ここでは、初心者の方でも取り組みやすいよう、うつぶせから入る方法をご紹介します。

ただし、無理に脚を開いたり、深く倒れたりする必要はありません。

① まずは、うつぶせから

手をおでこの下、または片側の頬の下に置き、うつぶせになります。

ここから、片方の脚を曲げていきます。

② 股関節の動きに合わせて、無理のない形を選ぶ

スワンのポーズのパターン

まずは、脚を軽く曲げるところから始めましょう。【パターン①】

余裕があれば、少しずつ膝を外側へ開いてみます。【パターン②】
さらに動かせる方は、スワンのポーズへ。

肘をついて行う方法もあります。【パターン③】
肘をつくことで身体を支えやすくなり、膝や股関節への負担を抑えながら取り組みやすくなります。

どの形でも、深くできるほど良いわけではありません。

曲げた脚のお尻や、伸ばした脚の付け根など、どこに伸びを感じるか、左右で違いがないかを感じてみましょう。

自分の股関節が、無理なく心地よく動ける位置を探してみてください。

選んだ姿勢で、20〜30秒ほどゆっくり保持します。

心地よければ、1分程度行っても構いません。

反対側も同じように行いましょう。

スリーピングスワンを行うときの注意

以下に当てはまる方は、自己判断で行わず、医師の指示のもとで行ってください。

  • 膝を痛めている方
  • 膝や股関節に人工関節が入っている方
  • 産後間もない方(目安として産後2か月以内)
  • 骨盤の痛みが強い方

痛みが出る場合も、無理に続けないようにしましょう。

ポーズから戻るときも、ゆっくりと

ヨガではポーズそのものに意識が向きやすいですが、戻る動作も大切です。

スリーピングスワンから戻るときは、まず曲げていた脚をゆっくり伸ばします。

そのまま身体をごろんと転がすように、仰向けになって戻りましょう。

または、横向きになって両足を曲げ、両膝を抱えてから仰向けになってもOKです。

安全なポーズの戻り方

急に身体を起こしたり、勢いをつけて脚を動かしたりせず、最後までゆっくり身体を扱うことを意識してみてください。

まとめ|股関節は「柔らかければいい」わけではない

股関節は、前後・左右・回す動きなど、さまざまな方向へ動く自由度の高い関節です。

だからこそ、動かし方には一人ひとり違いがあります。

柔らかくすることだけではなく、股関節全体のバランスを見ていくことが大切です。

そのためにも、まずは自分の股関節がどのように動いているのか、どんな癖があるのかを知ることから始めてみましょう。

次回予告|骨盤はどう動いている?

次回の姿勢シリーズでは、「骨盤」に注目します。

股関節と深くつながっている骨盤。

骨盤底筋との関係にも触れながら、姿勢や腰まわりとのつながりを見ていきます。

▶︎ Vol.1|良い姿勢って何?「山のポーズ」から学ぶ自然な立ち方
▶︎ Vol.2|足裏で姿勢は変わる?ヨガで感じる「重心」の話
▶︎ Vol.3|膝を伸ばしすぎていませんか?『伸ばす』と『突っ張る』の違い
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